生駒祐子 ( mama! milk )
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2006年にスペシャルだったこと。
私のアコーディオンを作ったおじいちゃん、シニョーレ・ゲリーニに初めて会ったこと。
イタリアの海のそばの丘の上のその工房のある街で、おじいちゃんや、工房の人たちと3日間一緒にすごしたこと。
祇園祭りの金魚すくいですくった10匹の金魚が、1週間で1匹になったこと。
全滅でも、2匹残るのでもなく、石の鉢の中で、たった1匹だけ、ちゃんと生き残ったということ。
早春、3月の朝に、白いもやの深くたちこめる木々の中を、ひとりで歩いたこと。
その短い時間が、まるで、これまでも、これからも、ずっと白い時間を歩いているようだったこと。
金沢21世紀美術館の「タレルの部屋」で演奏したこと。
独特の響きを持つその空間のために、いくつかの曲を書いたこと。
捨てられた子猫の鳴き声に、身も心もえぐられるような痛みを感じたこと。
アンティークの手廻しオルガンのための曲を書いて、楽譜を作ったこと。
カッターナイフで楽譜の用紙にひとつづつ穴を刻んでいく作業を、音の彫刻のように感じたこと。
ブルターニュの白夜のような夜に、ドライブに連れていってもらったこと。
ずっとずっとずっと、どこまでも、ずっと、とてもきれいだったこと。
京都ですばらしく幸せなビストロをみつけたこと。
八坂神社の古いしだれ桜が、たくさんの枝を枯らせてしまったこと。
ずっと何年も荘厳で、こわいくらいに美しかったその桜が、かわいいおばあちゃんに見えたこと。
初めてソロ・パフォーマンスをしたこと。
きっと何かが、とても大きく変わりはじめたこと。


